FRIENDS Vol. 002株式会社 小野測器 Ono Sokki Co.,Ltd.
Measurement instrument company
「ストラディヴァリウス300年目のキセキ展」 開催おめでとうございます。
小野測器は、自動車開発の試験機や、音/振動の計測器、解析ソフトの販売をはじめ、音/振動に関わる問題解決コンサルティングを事業にしている会社です。
弊社には、稀有の音響性能を持つ無響室(吸音楔1.7m)があります。
昨年の初夏に、この空間を利用して、ストラディヴァリウスの音の秘密を紐解こうという企画のお話を、伺いました。そして、弊社コンサルティング部門がチームとして、ストラディヴァリウスの無響空間での空間特性の測定と内部の音の録音を受け持つことになりました。
このとても魅力的でワクワクする企画に参加させていただいて以来、楽器と演奏される空間の関係の深さを、改めて実感することになります。一般的に、楽器が製作される工房が、楽器が生まれて初めて音が奏でられた場所になります。その音は、生まれながらにして、工房の空間の音の響きと合わさった音として、製作者や演奏者の耳に届くのです。現存するストラディヴァリウスが、演奏される空間の音の響きを取り除いて素の音になったことは、実はほとんどないのではないでしょうか。
ストラディヴァリウスの素の音の響きを確かめたい。空間に放たれた音が、どのように空間を伝搬していくのか見てみたい。それは、無響室の中で、奏者を取り囲むように立体的に観測することで可能になります。奏者には手がかりになる空間の響きのない中での演奏で、大変難しい録音にはなりましたが、プロジェクトの皆様のご協力で、貴重なデータを録ることができました。50のマイクロホンが拾ったストラディヴァリウスが空間に放つ素の音が、展示会場でどのように視覚化されて、再構築されるのか、小野測器チーム一同とても楽しみにしています。
そして、超小型マイクをなんとストラディヴァリウスのf字孔から挿入して、内部の音と、外部の音を同時に録音するという実験にも挑戦しました。ストラディヴァリウスの科学的な音の解明に、この測定がどのようなヒントをもたらすのか、我々にもわかりません。ただ、ストラディヴァリウスの音の解明は、将来も音楽好きの科学者によって挑戦が続くはずです。その中で、これまでおそらく誰もやったことがない実験の価値が証明されることがあるかもしれないと思えるだけで、こんな機会に遭遇できた幸運に感謝の気持ちが溢れます。
プロジェクトの関係者の皆様に感謝申し上げます。